加賀市北前船の里資料館

北前船の里資料館は、加賀市橋立町の旧北前船主酒谷長兵衛邸を、昭和58年に加賀市が買収し、博物館施設として公開しているものです。

 酒谷長兵衛は、幕末から明治にかけて船6隻を所有し、北前船の経営で巨額の富を築きました。橋立村は、明治5年に村の大部分が火災のために焼失し、酒谷邸も火災後に建てられました。

主要な柱の床下部分には銅板が巻かれ、30畳のオエの間と称する大広間の梁は、巨大な松が、座敷部分に通ずる正面大戸には秋田杉の1枚板が、主要な柱は八寸角の欅が使われています。また、これらの木材の表面仕上げは、漆が7回も8回も塗られており、現在も見事な光沢をはなっています。

建物の各部屋や縁には、橋立を中心とした各船主や船頭の家々に残されていた各種の航海用具が展示されています。特に、「船箪笥」は懸硯型や帳箱型、半蓋型、知工箪笥など、さまざまなタイプが展示されています。「船は沈んでも、船箪笥だけは浮く」とまで言われた、精巧なつくりの船箪笥は、骨董品としても人気があります。

敷地内には、6棟におよぶ土蔵が残されており、船絵馬館、船主の生活館、引き札館などと、資料別のミニテーマ館となっています。船絵馬館には、加賀市内の各神社から集められた船絵馬およそ20面が展示されています。これらの船絵馬は、船主や船頭が航海安全を祈願して神社に奉納したもので、加賀市橋立町の出水神社や瀬越町の白山神社、塩屋の八幡神社には数多くの船絵馬が奉納され、拝殿などに掲げられています。

 加賀市北前船の里資料館

 所在地:石川県加賀市橋立町イ乙1番地 ℡0761-75-1250

 営業時間 9:00~17:00(但し、入館は16時30分まで) 年中無休

 入館料は年齢や人数などで多少変わりますので、資料館に直接、確認願います。